• 初めて調剤・投薬する薬・・・どんな事に気をつければいいのか、ワンポイント・アドバイス

トルバプタン(サムスカ)

分類:利尿剤(V2受容体拮抗薬)

監査ワンポイント

適応と検査値の確認/併用薬の確認がポイント!!

まずは、サムスカの特徴をおさらい。よく処方されるパターンは心不全における体液貯留の改善。心不全になり下肢がむくみ、肺に水がたまる。こういった症状に対してループ系利尿剤などを使用するのですが、それでも改善が見られない時にサムスカが使われます。そのため他の利尿剤と併用が基本です。最大の特徴は腎機能などに影響を与えず水だけを出す利尿剤ということ。一般的な利尿剤はNaやKなどの電解質の排泄を伴いますがサムスカは電解質排泄には影響を与えず、体内の余分な水分のみを出す、世界で初のメカニズムをもつ薬剤です。電解質の乱れが少ない事が最大の魅力です

監査時にまず適応とナトリウム値を確認しましょう。心不全では15mg、肝硬変では7.5mgからスタートするのが基本です。また血清Na濃度の確認も行いましょう。血清Na値によっては半量から投与スタートが推奨されます。

適応症によって処方量が異なるためこの点はしっかり添付文章で確認しましょう。

次に併用薬を確認しましょう。CYP3A4の相互作用と利尿剤の併用の有無です。CYP3A4阻害薬とは併用を避ける事が基本です。CYP3A4阻害薬(イトラコナゾールやクラリスロマイシン等)とやむを得ず併用する場合は本剤の減量を考慮します。また上記で記載したように、利尿薬が併用されているかの確認が必要です。単独での処方では高Na血症のリスクが上がります。単独での処方の場合は疑義照会が必要です(心不全・肝硬変における体液貯留の場合)

投薬ワンポイント

最大の注意点は脱水です。サムスカは強力な利尿作用から脱水症状や高Na血症のリスクがあります。服用中は適度な水分摂取を促しましょう。(一方で、過剰な水分摂取は体内貯留を助長するため注意が必要です)。適度に水分は摂りつつ、摂りすぎてはダメ!という…ちょっと患者さんへの説明に工夫が必要な薬剤です。Drから水分摂取についてどのように説明を受けたか患者さんに確認してみるといいと思います。水分不足や摂りすぎをチェックする目的で日々体重測定してもらうようにフォローするのもいいと思います。

また水虫治療や肺炎治療ではCYP3A4阻害薬が処方される可能性があるため、そういった疾患で病院を受診する場合には必ずお薬手帳を持参するようにフォローしましょう。