• 初めて調剤・投薬する薬・・・どんな事に気をつければいいのか、ワンポイント・アドバイス

メトホルミンMT(メトグルコ)

分類:ビグアナイト薬

監査ワンポイント

必ずチェックすべきポイントが2つ

オルメサルタン(オルメテック)との1包化はNGです。メトホルミンが着色します。主に赤くなります。うっかり見落としがちなのが配合剤です。レザルタスもオルメサルタンを含有するため、レザルタスとメトホルミンの1包化もNGです。

②実はメトホルミンという成分のお薬は2種類あります。一般名で表記するとメトホルミンMTとメトホルミンGLです。メトホルミンMTは処方上限が2250mg/dayですがメトホルミンGLの場合は750mg/dayです。処方せんの記載をよく確認してください。

投薬ワンポイント

低血糖以外で、特に注意すべき副作用が乳酸アシドーシスです。

脱水状態や過度のアルコール摂取は乳酸アシドーシスの副作用を助長しやすいため、特に夏場はしっかり水分を摂りながら服用するようアドバイスしましょう。

また、ヨード造影剤検査を行う場合は、本剤を一時中止し、ヨード造影剤投与後48時間は本剤を再開しないとことなっています。『他院で造影剤検査を受ける時はメトホルミンを服用中である事を必ず伝えてください』と説明しておくことが重要です。

※乳酸アシドーシスとは・・・乳酸の産生増加や代謝の低下により血中に乳酸が蓄積し、代謝性アシドーシスをきたした状態。ビグアナイト薬は肝における乳酸からの糖新生を抑制する事で血糖を下げるため、乳酸が増加しやすい。

初期症状は悪心,嘔吐,腹痛,下痢や倦怠感,筋肉痛です。

余談・・・

メトホルミンは不妊治療で使われることもあります。

排卵障害の代表的な疾患に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)があり、メトホルミンはPCOSの病態に関与するインスリン抵抗性改善することで、卵巣のアンドロゲン産生を低下させます。クロミフェン(クロミッド)と併用されることが多いです。

薬剤師を何年かしてると、たまに見かける処方です。いつか役に立つかもしれなので、頭の片隅に置いておくといいかと思います。